俺は、裁判官なんて目指してはいなかった・・・
ただ・・・・ただ・・・・アイツが・・・エンチューが・・・・
「ヨイチは裁判官にならないの?なったらカッコイイと思うよ」
なんて・・・言うから。
「星」
俺はいつもエンチューと一緒に行動していた。
というか・・・ムヒョもいるのだが・・・
ムヒョはいつも寝ていて起きない。
だから、話し相手はエンチューくらいだった。。。
もちろん!クラスには友達はいたが・・・・
エンチューほど仲がよかったわけではない。
学期末テストが近づくにつれてアイツは図書館に行く回数が多くなっていった。
「ムヒョに負けたくないって言うのはわかるけどよ~」
「ヨイチには関係ないでしょ!!」
アイツは結果にこだわる奴だった。
立派な執行人になってお母さんを助けたい。
母親思いなのはわかるが・・・・・・・
「少し休んだほうがいいんじゃねえのか?」
俺はエンチューを勉強の息抜きになれば・・・・と夜、屋上に誘った。
「あ!一番星!!きれいだね~ヨイチ・・・・」
「あれ?金星だろ?一番光ってんの」
「そうなの?」
「努力家の円さまとはいえ・・・知らないことがあったとは・・・・」
「ん!怒るよ!ヨイチ!!」
「あ~冗談冗談~」
もうすぐ夏なので風がきもちいい。
しかも屋上は誰もいない。
「ね・・・ヨイチ・・・・」
と突然真剣な眼差しで一番星を見上げながらエンチューは話を切り出してきた。
「死んだ人はお星さまになるってホントかな?」
「ん~どうだろ?でも見守ってくれるって言う意味でそうなんじゃないの?」
「そうなのかな・・・・・」
「どうした?エンチュー・・・・」
沈黙は流れた―――――。
「僕のおかあさんは・・・・どんな綺麗な星になるんだろって・・・・」
「え・・・・・??」
「お母さんもうダメなのかな・・・・・」
「そ・・・そんなことないよ!!エンチューが信じてやらないで誰が信じてやるんだよ!!」
「・・・・ごめん・・・・・」
「なんか・・・・星って綺麗なんだけどさ・・・・・儚いよね」
「・・・・・・」
「綺麗に光れない星だってあるんでしょ?本で読んだ」
「しかも綺麗に光っていてもいつかは消える・・・・・」
(命のように・・・・・)
エンチューの言葉にそんな意味が隠されているのではないかと思ってしまった。
「でも、光っているうちが華だろ?」
「人間なんて星に比べれば短い人生かもしれない・・・・」
「だけど・・・光っているうちは自分が一番輝いているんだから・・・・(生きているうちは)」
「だから・・・今光を閉ざそうとしているお母さんに光を与えるのがお前の役目だろ?」
俺は自分でもよくわからない言葉を並べて一生懸命にエンチューを励ました。
「ね!ヨイチ!君も勉強したら?」
「げ!!・・・・俺はいいよ・・・・」
「ダメだよ!これからの未来、何になるか決めなきゃだし・・・」
「未来ねぇ~よくわかんねぇ!」
「よくわからないから勉強だよ!僕が教えてあげる!!」
「・・・・・・」
「ヨイチはろくにノート取ってないんでしょ!!」
「・・・おっしゃるとおりです・・・・・」
「じゃ!決まりww」
そのときのエンチューの笑顔はまさに星の輝きに匹敵するくらい眩しくて素敵だった。
アイツの笑顔を見たのは久しぶりだったから・・・・・
翌日。
「もーここはそうじゃないって!!」
「聞いてるの?ヨイチ・・・・」
「正解!よくできたね。次はここの問題やってみて・・・・」
「ヨイチは覚えるのが早いよね・・・・いいなぁ~」
「僕なんて・・・・・」
俺はそのとき思った。
あ~自分はこんなにエンチューのこと好きだったんだなって・・・・
だから夕べは自分でもわからない言葉を並べて・・・
アイツだけは苦しめたくなかったから・・・・
自分で自分を責めてほしくなかったから・・・・
俺は・・・俺は・・・・
あんな慰め方をしたんだと思う。
俺を見るあの目。
俺を呼ぶやさしい声。
あの俺だけにしか見せない弱さ。
あの笑顔。
―――――すべてがもう、好きだった。
「ヨイチは裁判官なればいいじゃないの?」
「・・・・ん?・・・・・なんていった?ごめん・・・聞いてなかった」
突然、俺に目の前にお前の綺麗な顔が出てくるから!!
慌ててしまって何を言ったのか聞き取れなかった。
「んも~!!」
「ヨイチは裁判官にならないの?なったらカッコイイと思うよ」
「え・・・裁判官??・・・俺が?」
「うん。素質あるよ!君は」
思ってもいない言葉だ。
でも・・・・現に俺は・・・・今、こうして裁判官として働いている。
きっかけは・・・・・
アイツが言ったから裁判官になろうと思ったのかもしれない。
「戦場で使えないものは無い!」
俺が裁判官を目指すようになっていろいろ教わった。
これもエンチューの格言のひとつである。
俺は、エンチューとの約束を守ってきた。
エンチューのアドバイスを聞き入れて実践してきた。
しかし・・・・こんな結果になってしまうとはな。
エンチュー。
お前が言った言葉かいつか・・・いつの日か・・・・・。
お前と戦う日に役に立つとはな。
お前も思ってもみなかったよな?
~あとがき~
今週号はなんといってもヨイエン!!
絶対小説は書きたかったんです。
ホントに萌え。
この2人。
西先生も考えてますね。
いや~今週号はあっぱれでした。
ごちそうさまです。
もっと過去話やってほしい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
お粗末さまでした。
久しぶりに書いたので感覚が鈍ってる。
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