月明かりだけが頼りである。
雲雀はおもむろにそこのパラソルで着替え始めた。
もってきた水着を着用し、着てきたYシャツに腕を通す。
雲雀は準備に疲れたのかシートの上に座り、もってきた本を取り出し、
読み始めた。
月明かりだけを頼りに。
10時。
了平は律儀な男だ。
8時くらいには食事を済まし、海パンに着替えてリュックを持って急いできた。
自分の泳ぎを雲雀に見せて一緒に泳ぐのだ!
と家族にも食事中に自慢げに話す。
泳ぐためにスタミナ作りだと、ご飯大盛りを3杯食べてこの市民プールにやってきた。
プール=水泳競技だと思っているこの極限野郎は泳ぐ気まんまんだ。
その思考は覆されるとは知らずに。。。
電気がついていないことの不思議がる了平。
10時を回っていることを知らずに本に読み耽っている雲雀。
2人だけの時間はここから始まる。
「うむ・・・・なぜ電気はついていないのに・・・鍵が開いている?」
「もう・・雲雀はついているのか?」
「それにしても誰もいない市民プールは少し怖いな」
など一人事をいいながら怖さを紛らわし、プールサイドへ向かう。
視界が開けると了平の目には月明かりに照らされているプールが2つ。
その真ん中に見慣れた人物が一人。
パラソルの影でよく見えないのだが、あれは確かに雲雀だった。
「雲雀!!!待たせたな!」
「!!」
手を振りながらこっちへ向かってくる了平を迎えるため、
本を閉じゆっくり立ち上がる。
「やぁ、早かったね」
「早くはないぞ、時間通りだ」
「?」
雲雀はプールの時計探し、見上げた。
そして、自分がどのくらい本に熱中していたのか自覚した。
「雲雀はいつ来たのだ」
「ついさっきだよ」
雲雀はウソをついた。了平に準備のため2時間前から来たなんていえない。
ましてや自分は泳ぐことが目的ではない、なども言えないからだ。
「うむ。それにしても誰もいないのだな」
「そうだよ、この市民プールは9時で終わりなんだ」
(本当は今日は7時だったけど)
と心の中で思ったが、了平が不思議がるとあとあと説明が面倒だから言わなかった。
「いいのか?夜のプールを貸してもらって」
「いいんだよ。僕は顔が利くんだ」
「なるほど!さすが雲雀だな」
なぜか納得した了平を見て、雲雀もよかったと安堵の表情を浮かべる。
「さ!誰もいない市民プールで泳ぐか!!」
了平は服を脱ぎ始める。
「ねぇ、顔が強張ってるけど・・・」
「む・・・実はな。こんなことをいうと馬鹿にされるかも知れないが・・・」
服を脱ぐ手が止まって、恥ずかしそうに下を向いたまま言った。
「何?」
「鮫がいそうではないか?」
「なにそれ!フハハハ」
雲雀はお腹を抱えて笑った。あまりにも幼稚な思い込みを了平がするからだ。
「笑うな!本気で思ったのだ!」(極限プンスカ!)
「大丈夫だよ。さっき、プールサイドから見回してみたけどそんなのいなかったよ」
「うむ・・・思い過ごしか・・・」
ホントにバカ。
こういう天然が了平なのだ。そこがかわいいと雲雀はいつも思う。
「泳いできなよ。僕はここにいるから」
「では!泳ぐとするか!!」
鮫が出たら僕が何とかするから~という声を遠くに聞きながら
了平は大人用のプールへ飛び込んだ。
独特な了平の泳ぎ。
それは雲雀は前から知っている。
そんなことはどうでもいい。
雲雀はスッと腰を下ろしながらさっきの本を取り出し、途中から読み出した。
しかし、読む気になれない。
了平のことが気になって・・・・
バシャバシャいう水しぶきの音につい耳を傾けてしまう。
読書に集中できない。
顔には出さなかったが、雲雀は了平の海パンに一撃を食らったみたいだ。
(何、あの海パン!!
しかも月明かりに照らされて解かったけど・・・
日焼けしてるし・・・でもあの海パンは何なの!!)
雲雀はそうとうな打撃をくらったみたいだ。
月明かりに映し出される了平の体と言ったらいいようもない肉体美である。
おまけにあのハイグレの海パン!!!
雲雀は読書どころではない。
心を落ち着かせるためにもってきた水を飲む。
と、そのとき。
ザバッ
「お~い!!雲雀!!」
了平がプールから顔を出し雲雀を呼んだ。
「貸切というものは極限いいものだな!!」
「なんか独り占めをしているみたいで気持ちがいい!」
「どうだ!お前も一緒に泳がんか?」
一人で泳いでた了平は寂しくなったらしく、雲雀を呼ぶ。
本来の目的は雲雀といっしょに泳ぐというのが目的だったのに
一人で泳いでしまったという罪悪感も同時に襲う。
「僕はいいよ」
遠くから聞こえる雲雀の声。
屋内だから余計響く。
「どうしてだ?お前も水着持ってきたのだろ?」
「持って来たのに入らんでどうする!!」
一応履いてる。
了平みたいにあんな水着は履けないが。
競泳用なのかわからないけど
スイムパンツ(ボクサーパンツっぽい?)を履いている。
一応水に濡れたとき用としてだけど。
そんなことを考えていたら・・・
目の前には見慣れた足が。
「一緒に来い!!」
グイっと引っ張られた僕の左腕。
と思ったと同時に放り投げられた。
バッシャーン
雲雀は水面に顔を出し立ち上がる。
「冷たッ!!」
「アハハハ!どうだ雲雀!!」
雲雀が落とされたのは子供用のプール。
浅いといっても雲雀の腰くらいまで水は張ってある。
「ちょ!!何す・・」バッシャ-ン
続いて了平も飛び込む。
「アハハハ!気持ちいいだろう!雲雀!!」
雲雀は赤くなりながらもムカついているのがすぐわかった。
それを察した了平はすぐさま謝る。
「す・・・すまん・・・つい・・・その・・・はしゃいでしまってな」
「くすくすくす・・・」
「?」
いきなり笑い始める雲雀に動揺を隠せない了平は、
意味がわかないという顔をしている。
「君はホント面白いね」
雲雀の笑顔を見て少し安心した了平は・・・
「そうであろう!プールは面白いものなのだ!!」
「ちょっと!調子に乗らないでくれる?
どうしてくれるの・・・・責任とってよね」
「うむ、極限まかせろ!!」
僕たちは恋人同士、手だって繋いだり、キスだってする。
ほら・・・今日も。
「・・・・・」
月明かりの下。
水の中。
僕たちは抱き合い、唇を重ねる。
強く抱き合い、さらに重ねる。
角度を変え、何回も。
月が水面に浮かぶ。
まるで月が描かれている絨毯。
その絨毯の上で何度も何度も。
波打つ水は静まり返り、耳に聞こえるのは
いやらしい違う水の音と虫の音。
僕たちだけの空間。
水面に移るのは2つの影。
月明かりに照らされた2人。
息も出来ない、頭に酸素が回らない。
だけど彼は離してくれない。
ぷはっ
ようやく、2つの影は離れた。
沈黙はつづく。
先に沈黙を破ったのは雲雀だった。
「長かったね、どうしたの?」
「うむ・・・・どうしてといわれたらどうしてなのかわからんのだが・・・・」
「?」
「今日、最初に会ったとき綺麗だと思ったのだ」
「なにそれ」
「いや・・・月明かりに照らされたお前のシャツが白くて反射してな、
キラキラして見えたのだ・・・・幻覚かも知れないが光って見えたのだ」
「それがすご・・・」
チュッ
雲雀はふいに俺の口にキスと軽くだが落としてきた。
「ありがと」
「!!・・・て・・照れるな。こういうことを言うのは」
雲雀からあんまり聴かない言葉を口にされたので
了平もびっくりして顔をさらに赤める。
実を言うと・・・今もそう思ったのだ。
水に濡れたYシャツが月の光でキラキラ反射して、
間近で見たせいか透ける雲雀のもともと白い肌がいっそう
その反射を輝かせ綺麗に見えた。
月の光に反射する雲雀は美しい。
見とれてしまうほど。
実際見とれてしまっていたのかもしれない。
パラソルの影からでてきた時の雲雀の光っている姿。
水に濡れてその白い肌で光っている雲雀の姿。
それはどんな宝石よりも輝いて了平には見えていた。
「もう、出よう」
「うむ、そうだな」
了平は雲雀と一緒に泳ぐという目的はすっかり忘れている。
シャー
シャワーを二人で浴びて、プール独特の塩素を流す。
もう、2人は子供ではない。
あんな濃厚なことをしたのだからもう、止められないのだろう。
そういうお年頃なのである。
考えないほうがおかしいのだ。
コインロッカーの前で、髪の毛を拭いている雲雀。
まだシャワーを浴びている了平。
突然、シャワー音がやんだと思ったら・・・
真剣な顔して了平が出てくる。
「どうしたの?真剣な顔して・・・」
「いろいろ考えてしまってな」
といったとたん僕をロッカーに押し付ける。
「ちょ・・・了平!!」
「ここでしたら、響くよ・・・・」
そうだ。
屋内というものは声が響く。
ましてや、こんな室内。
響いたらと思うと顔が火照って来る。
「響くって!!」
良平は雲雀の肩をロッカーに押し付けたまま雲雀は抵抗する。
突然、目の前が暗くなったと思うと耳元で・・・・
「響かせればよかろう」
何をためらう?今は2人きり。
響かせればいいのだ。
何を恥ずかしがる。
誰もいない。
お前と2人だけなのだ。
とその裏に思えることが聞こえてきた言葉に含みを持たせた。
「え・・・・」
了平も顔が真っ赤だ。
ガラスから差し込む月の光に照らされて解かる。
僕たちはそのままお互いの体を求め合った。
何度も何度もお互いが飽きるくらい。
でも飽きたりはしない、絶対。
僕たちは恋人同士、手も繋いだりキスだってする。
それ以上も・・・・
僕の作戦は大成功。
ひと夏の思い出をつくることができた。
了平には最初黙っていたけど、僕の準備は万全だったのかな?
終わった後、了平は自己嫌悪に犯されていたけど・・・・
僕と泳ぐのが目的だったのにってね。
でも、僕は大満足だよ。
最初からそのつもりでここを借りたんだから。
*あとがき*
初めて書いた了ヒバ小説でした~お粗末さまです。、、て。。。18禁わぁ!?!?
なしです。すいません。ここまで書いたのもはじめただぞ☆夜中ってすごい。
Echo again聞きながら書いてました。了平の言わせたいセリフも書けたし!!
こんな妄想を荒川の土手でやってたことは内緒です。すいませんorz
まだ、一皮剥けませんね。
どうしたらかけるのでしょうか?20になれば??でも、いつかかけるようになりたいです。
了ヒバはいつもラブラブしてればいいとおもうよ?
シリアスはないです。わからない。お兄ちゃんが全部解決してくれそう!!
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